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科学
アインシュタイン
アルベルト・アインシュタイン、誰もが一度は耳にしたことがあるかもしれない。天才の代名詞にもなっている。だが、僕はこの人物が大嫌いだ。何故かって、それは、人類を太陽の重力圏に永遠に閉じ込めてしまったからだ。彼の特殊相対性理論によると光の速度を超えるものは存在しないらしい。銀河系外は当然のこと天の川銀河のなかでさえ、人類の寿命では旅行できなくなってしまった。
ミュールもティフラーもセブンもいない宇宙なんて考えられない!!
光速度に特異点を持つような理論がいつまでも支持される訳がない。いつの日かこの理論は修正され、人類は宇宙という大海原に旅立つことになるだろう。そう僕は信じている。
ガーディアン
「ローレンツ変換をそのまま受け入れるのが自然だよ」
「いいえ、光の速度は一定ではないわ。ローレンツ変換を一般化して空間次元を増やすと光の速度は3次元空間への射影としてみえるの。これをマクスウェルの方程式に還元すると、新しい力、そう超電磁力が存在することになるのよ。この力の伝搬速度の3次元空間への射影が光の速度なの。ねえ、面白いと思わない。」
「面白いかもしれないが、それは、思考の遊びであって、実際の自然界を記述している訳でない。むしろ、光の速度を一定として、ローレンツ変換を素直に解釈すべきだよ。ローレンツ変換でもって観測者を定義し、絶対的な空間を排除すればいい。それが素直な解釈だよ。」
時は19世紀末。私は、スイスのチューリッヒ郊外のモダンなバーで女と会っていた。
彼女は、手にしたクレセントを飲みほすと続けた。
「でも、私は素直な女じゃないのよ。私の論文には誰も鼻にもかけなかったわ、あなた以外はね。でも、あなたの絶対空間の排除って話は興味深いわね。詳しく聞かせて。」
彼女の名はミレーバ・マリッチ。この秋に、チューリッヒ連邦工科大学の物理学部に進んだばかりだった。自立心と好奇心にあふれた彼女は旧態の権威主義な物理学に反抗的であった。常に新しい刺激を求め挑戦していた。学内の学友論文集に投稿した「マクスウェル方程式の拡張から生まれる超電磁気力」もそのひとつであった。だが、それは、危険な理論だった。そう、宇宙連邦にとっては。
私の役割は人類が宇宙連邦にふさわしい精神の高みに到着するまで、人類を地球圏に留めおくことだ。光の速度を超えることができないと思わせておくことは有効であった。
私は、ミレーバを絶対空間の排除という思想に洗脳するために、その後も彼女と会い続けた。
そして、1905年に「特殊相対性理論」が発表された。著者はミレーバでなく夫のアルバートアインシュタインであった。何故、ミレーバは自身の名前で発表しなかったのだろうか。それは謎である。
ただ、発表者が誰であれ、この理論で当分の間は人類を地球に縛り付けておける。
草原を吹き抜ける風が心地よく全身を包む。体の細胞が風の音に反応し覚醒を始める。いつもと同じ感覚だ。冬眠装置の警報装置が私を目覚めさせていく。
まだ覚醒しきれない意識に情報が流れ込む。今は西暦2011年。この前の覚醒からまだ100年あまりしか経過していない。科学は進歩したが、人類の意識は変化していない。
人類を宇宙に導く何らかの発見や発明があったとき、冬眠装置は私を覚醒させる。今回はニュートリノの速度が光速度を超えたという実験結果だ。私の仕込んだ「特殊相対性理論」の原理を危うくする発見だ。まだ、人類は宇宙に飛び出せる状況ではない。私は関連情報を検索し、この発見を封じる対策を練った。
2012年、私はスイスのジュネーブ郊外にいた。
セルン管理棟の一室で「OPERA」のセルジオ・ベルトルッチと面会していた。
「私どもの装置の不具合で多大なご迷惑をお掛けして申し訳ございません。」
今回は、ただひたすら謝るだけ。ミレーバの時と比べれば簡単だった。
2012年6月8日、「OPERA」はニュートリノが光より速いとした実験結果を誤りと認め撤回した。
私はまた眠りつく。今度目覚めるとき、人類の精神は宇宙を手に入れるまでに進化しているだろうか。是非そうあって欲しいものだ。私は薄れゆく意識の中で故郷に帰る夢を見ていた。
2012/06/12 記
神の粒子
ヒッグス粒子の発見が世紀の大発見と報じられてから3週間ほど過ぎメディアの露出も少なくなってきました。
メディアでは「宇宙が誕生したときには、素粒子は質量がゼロで、ヒッグス粒子が現れて質量を持つようになった」と報道され、「神の粒子」の発見と、あたかも自然の謎がすべて解明できたかのような少々オーバーヒート気味に報じられていました。
標準理論によると、宇宙の初期には電磁気力が弱い力と区別できなかったのが、ヒッグス粒子の登場で、弱い力を伝えるW粒子や、Z粒子が質量を持つようになり、電磁気力と弱い力が区別できるようになったそうです。ただ、ヒッグス粒子がすべての素粒子の質量に関係している訳ではなく、また、質量と一番関係の深い重力については標準理論ではまったく説明できません。
ヒッグス粒子は弱い力を作り出しましたが、重力など自然の全容解明にはまだまだほど遠いようです。ところで、この"弱い力"とはいったい何者なんでしょうか。
自然界には、重力、電磁気力、強い力、弱い力の4つ力があることが知られています。
重力は質量を持った物体が引き合う力です。この力がなかったら、銀河や星などは生まれませんでした。
電磁気力は、電荷を持った物体が引き合ったり、反発したりする力で、この力のおかげで原子や分子が存在し、物質が形作られます。
強い力は色荷を持った物体が引き合う力で、原子核が安定して存在するのはこの力によります。
一方、弱い力は斥力でも引力でもありません。β崩壊を起こす力です。どうも他の力とは少し違うようです。
重力は星を、電磁気力は原子を、強い力は原子核を作り出します。もしも、この3つの力が存在しなかったら、今の宇宙は存在することはなかったでしょう。では、もし、弱い力がなかったら?
弱い力は物質を作り出すことがないので宇宙の姿は今とほとんど変わらない気がします。宇宙の存在には関係しない力のようですが。
しかし、弱い力は太陽の内部で起こっている核融合に関係しています。太陽の内部で水素がゆっくり燃える続けるのは弱い力が支配しているからです。
つまり、弱い力によって、太陽が輝き続けることができ、そのエネルギーで地球上に生命を生み出し、生命は長い時間をかけて進化を繰り返して人類を出現させることとなりました。
そう、弱い力は生命を生み出す源だったのです。もし弱い力がなかったら、人類は存在しなかったでしょう。その意味で弱い力を生み出したヒッグス粒子は「神の粒子」なのかもしれません。
2012/07/26 記
虚数時間
この式は運動の第2法則を数式化したニュートンの運動方程式である。高校の物理で習った。微分方程式と呼ばれる形式で、数学の解析学の最も基本的な微積分学が使われている。
また、量子力学の数学的基礎はヒルベルト空間で提供され、相対論ではリーマン幾何学で表現されることが多い。このように自然現象、とりわけ物理学では数学が理論の表現や計算に使われる。でも何故、数学が使われるのだろう。
数学は人間が頭の中で創造したものである。つまりは人工的に作り出されたものである。人工物で自然界を記述する?この方法は本当に正しいのだろうか。もしかしたら、自然の中には自然を記述するためにもっと最適な言語があるのではないだろうか。以前からこんな疑問を持っていた。
同じような疑問を持っている人は結構いるようだ。その答えを見つけたのは、たまたま手にしたとある大学の学長の講演録だった。
「人間だって自然の創造物だろう。数学はその人間が作り出したものだから、数学で自然が記述できるのは不思議でも何でもない。当然のことだ。」
なるほど、納得してしまった。
人間が発明した数に虚数がある。2乗するとマイナスになる。iは虚数単位として知られている。この虚数、物理学で計算上の道具としてよく取り扱われているが物理的な意味はない。
ところが、車椅子の物理学者として有名なイギリスのホーキング博士は、虚数時間の存在を説いている。宇宙の始まりを説明するために虚数時間を導入した。計算する上で便利な道具ではない、虚数時間は実存しているとホーキング博士は考えている。多くの学者は懐疑的だ。しかし、真実はどうなんだろう。
虚数も人間が発明したものなのだから。
色の3原色
先日、たまたま、竹内薫氏が書いた色の3原色の記事を読んだ。
猫は2原色で、人間は3原色、鳥は4原色の色覚を持つというお話しだ。その中で人間が色を感じる仕組みの説明があった。
色は光の波長で決まる。赤色の波長は610nm~750nm、黄色の波長は580nm~595nmなど決まっている。テレビは光の3原色である赤色と緑色と青色の3つの色の小さなドットで構成されている。つまり、テレビからは赤色と緑色と青色の波長の光しか出ない。しかし、私たちはテレビで黄色や紫色などたくさんの色を見ることが出来る。テレビからは黄色や紫色の波長の光は出ていないにもかかわらずだ。なぜ?
実はこれは脳の勘違いだそうだ。人間の目は赤色と緑色と青色に反応する細胞を持っており、例えば、黄色の光が目に入ってくると赤色と緑色の細胞が刺激を受け、脳は黄色と判断する。赤色と緑色の光が同時に人間の目に入ると赤色と緑色の細胞が刺激を受け、人間の脳は黄色の光が入ってきたと勘違いするらしい。
さて、モノクロCCDカメラでカラー撮影するときは、RGBの3つのフィルターを使う。
フィルターを透過する光の波長には幅があり、撮影した画像をトータルすると可視光の波長域をカバーすることになる。3つのフィルターで撮影した画像を、RGB合成してカラー化するが、このとき、中間色の波長はどうやって作られるのか疑問だったが、この記事で氷解した。
人間の脳の勘違いだったのだ。
色が脳の勘違いなら、銀河の色は主観的でいいだろう、どうせ勘違いするなら自分に心地よく勘違いしたいものだ。